aruto's diary

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英國戀物語エマ

上品で原作の雰囲気も尊重されていて、かなり良い感じの作品でした。
例えば物語の冒頭でメイド(エマ)がお茶を出すシーン。普通の作品ではポットからカップに注いで机に置いて終わり、なのですが、この作品では、まずポットからカップに注ぐ際、紅茶の葉がカップに混じるのを防ぐための”濾し”が使われています。そしてカップに注ぎ終わり机に置く際も、わざわざ一度カップを置いたあと、受け皿に置かれたスプーンが客人のほうを向くように、向きを変える部分なども描かれています。さらにそのシーンは、主人と客人の会話そっちのけでエマの紅茶を淹れる様子だけが強調されて描かれているのです。それもすごく丁寧に。
他にもエマが仕事を終え、私室で髪をほどき、櫛で梳くシーン。わざわざそのためだけに分単位の時間が費やされています。描写も丁寧です。
原作自体が、ストーリーよりもむしろエマの細かい仕草や、当時のイギリスの情景を描くことに重点を置いているためか、アニメで見ると(こちらはストーリーを展開させることを重要視しているため)やや展開が性急気味なように感じるのが難点でしょうか。ただそれはあくまで原作重視における考え方なので、人それぞれかもしれません。
他は、背景が雰囲気たっぷりに丁寧に描かれていた事や、エンディングにもわざわざボーカルなしの曲を起用し、アニメーションなどもせず、一枚絵の切り替わりだけでシンプルに演出していた事も、最後まで作品の雰囲気を楽しむ上で欠かせないファクターとなっています。
とりあえず、今期注目の作品になることは間違いなさそうです。