aruto's diary

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GPD WIN2 が発表されたので、GPD WIN 1 と比較してみよう

というわけで GPD WIN 2 のファウンディングがスタートしましたので、GPD WIN 1 / GPD Pocket と比較しつつ、色々見ていきましょう。

著者の状況

GPD WIN 1 は初期に出資 ( $ 299 )、現在も利用(外出時のみ。自宅では使わない)
GPD WIN 2 は初日に出資済み ( $599 )。
GPD Pocket はスルー。
自宅では Windows デスクトップ PC ( ゲーム、作業用 ) と MacBook Pro ( その他用 ) とかを使用。

(おことわり)
WIN2 については、基本的にスペックシートとネット上の情報を元に判断した内容です。正確でないものが含まれています。
発売前ですからね!

GPD WIN2 の簡単なスペック

CPU : Intel Core m3-7y30 ( 1.0 GHz / TB 2.6 GHz / 2C / 4T ), TDP 15W, KabyLake
GPU : Intel HD Graphics 615 ( 300 MHz / Max 600 MHz )
Display : 6 inch, 1280x720 (16:9) H-IPS, Golila Glass 4, 10 Point-Touching
RAM : 8GB LPDDR3-1866
Storage : 128GB M.2 2242 SSD ( M.2 socket2, SATA ) ※換装可能
I/O : 1x USB3.0-A, 1x USB3.0-C (USB PD), microHDMI, microSDXC ( max 256GB )
Battery : 2x 4900mAh ( 公称 6 ~ 8 時間 )
サイズ&重量 : 460g / 162 x 99 x 25 (mm)
付属品 : 電源アダプタ ( PD 対応 )、保証書, スペックシート
スピーカー : ステレオスピーカー

コピペじゃないよ!
しかし書いてみたら「簡単な」でもなかった。

GPD WIN 1 と GPD WIN 2 の比較 ( 主要部分のみ )

というわけで一部のみですが簡単な比較を。

GPD WIN2GPD WIN1
CPU Intel Core m3-7y30
2C/4T
Intel Atom x7-z8700 or z8750
4C/4T
CPU ベンチマーク
(Passmark)
3,539
(Single : 1282)
1,910
(Single : 551)
メモリ 8GB
デュアルチャネル
4GB
シングルチャネル
ストレージ 128GB M.2 SSD (type2242)
換装可能
64GB eMMC
換装不可
ディスプレイ 6インチ 1280x720
10点タッチ対応 ゴリラガラス4
5.5インチ 1280x720
マルチタッチ対応 ゴリラガラス3
サイズ&重量 460g
162 mm x 99 mm x 25 mm
365g
155 mm x 97 mm x 23.5mm

GPD WIN1 から GPD WIN2 で性能はどうなった?

GPD WIN 1 は Atom x7-8700。まあなんとか使えるレベルではあるんですが、Web ブラウザの動作ですらかなりもっさり。Vivaldi なら我慢すれば使える(どちらにせよ重い)。Youtube も高画質は無理。
ゲームについては…… 2D ゲームは結構大丈夫。3D ゲームは軽いとされる DQX くらいまで ( ただし長期間遊ぶと熱でフリーズする事がある )。FF13 はほぼゲームにならず。FF14 はキャラクタの移動がギリギリできる程度(それ以上は無理)
……という感じで、GPD WIN 1 は「以前の Atom よりはかなり良くはなっているが、かなり割り切った使い方が必要」というレベルのものです。
GPD WIN 2 は、CPU が Core m3-7y30 に強化されています。メーカーによると「Core m3-7y30 の CPU 性能は、Core i7-3770K に近い」……いやいやいくらなんでも盛りすぎ!
……と思ったので、WIN2 に乗ってる CPU の性能をベンチマークで見てみましょう。
ゲーム系のベンチマークとかだと GPU やストレージの速度も影響してしまうので、単純な CPU 性能だけを見るために Passmark で比較してみましょう。せっかくなので GPD WIN1 と WIN2 も比較できるようにベンチマーク結果を載せてみます。

Core i7-6800K : 13,620
Core i7-3770K : 9,536 (Single : 2084)
Ryzen 3 2200U : 5,439
Core i5-6360U : 4,838
Core i5-5287U : 4,667
Core i5-4258U : 4,093
Core i3-7100U : 3,779
Core i3-6100E : 3,769
Core i5-5250U : 3,611
Core i5-4350U : 3,610
Core i5-4260U : 3,580
Core 2 Quad Q9500 : 3,572
Phenom II X4 840 : 3,545
Core m3-7y30 : 3,539 (Single : 1282) ← WIN2
Core i3-4100M : 3,479
Pentium G3420 : 3,416
Core i5-4210U : 3,397
Pentium 4415U : 3,230
Core i5-4200Y : 2,407
Atom x7-Z8750 : 1,929 (Single : 598) ← WIN1 / Pocket
Atom x7-Z8700 : 1,910 (Single : 551) ← WIN1
Celeron N3160 : 1,700

おおなるほど。TDP 15W クラスの Core i3 / i5、モバイル向け第四世代めくらいの性能はあるんですね ( TDP 28W クラスのものにはかないません )。
ただ実際に PC として使った時のパフォーマンスは、メモリやストレージの速度、温度条件による TurboBoost の効き具合、設計、等で変わってきます。上記は参考程度にドウゾ。全部鵜呑みにしてはダメです。
当然ながら i7-3770K とは圧倒的な差です。まあ確認するまでもないよね。シングルコア性能で見れば 1.6 倍なので、現役で通用するゲーミング PC 用 CPU との比較と考えると……まあそれなりかな。Spectre / Meltdown 対策パッチを入れるとまた変わってくるかも。
WIN1 と比較した場合、単純なウェブブラウズとかの快適さに一番大きく関係する Single 性能が 2 倍以上になっているので、実際の快適さもかなり上がっている事でしょう。( とくに WIN1 を使っていた人は ) 期待が高まりますね!
※ 計測誤差もあると思うので参考程度に。特に 2 桁以内の細かい差は誤差の可能性があります。

価格が倍やんけ

GPD WIN 1 : 初期出資者 : $299 → 一般販売価格 : $349 ~ $500
GPD WIN 2 : 初期出資者 : $599 → 一般販売価格 : ? ( $649 以上 )
ただ WIN1 の場合、$299 での出資を締め切った後に円高になったため ( 113 円が 106 円になった )、初期出資者と Geekbuying 等での購入者との間で、実際あまり大きな差がありませんでした。
WIN1 から WIN2 で価格が上がっている件については、そもそもパーツの価格が大幅に上がっています。 たとえば WIN1 の Atom は $37、WIN2 の Core m3-7y30 は $281。CPU 価格だけで $241 上がってますね!!さらに eMMC が M.2 SSD になっていたり、メモリが増えていたり、全体的に ( 1 と比較して ) とても高コストで贅沢な構成になっているので、それがストレートに価格に反映された、と言えます。
低スペックでいいので安いほうが……という方には 1 のほうがいいかもしれませんね。

過去の製品の問題点など

下記の問題点はちゃんと直っているのかどうか、気になるところ。いろいろ触れて考えてみましょう。
( WIN ) …… GPD WIN 1 にあった問題点
( Pocket ) …… GPD Pocket にあった問題点
( WIN / Pocket ) …… GPD WIN 1 と GPD Pocket の両方にあった問題点

■ ( WIN ) 自身の発熱で内部のチップが壊れる事がある。無線 LAN、Bluetooth など
→改善されている事を祈るしかない!
→今回は BIOS から CPU の TDP を変更できるようなので、もし本体側の発熱対策が甘ければ、ここを下げて対応できそうです。性能低下しちゃうので、できたらしたくないですけど。
→メーカー側は、GPD WIN 1 の弱点は「性能と放熱」と認識しているようです。対策されている可能性がちょっとあるかな。

■ ( Pocket ) 電池残量がゼロだと USB PD 対応 AC アダプタから充電できない
→普通の USB-AC アダプタ + USB ケーブルを持っておけばよさげ ( 別途 PC があれば、USB-A to USB-C ケーブルだけでいい )。まあ PD 対応アダプタだけで充電できるのがベストですけどね。

■ ( Pocket ) 電源オフ時は USB-PD 非対応
→改善されている事を祈るしかない!

■ ( WIN / Pocket ) バッテリーが切れると、電源を繋いでも起動しない
→「アダプタが接続されていても、バッテリーから電力を確保する」という仕様のせい。WIN2では、アダプタ接続時はアダプタの電力で駆動するように変更されています ( 一般のノート PC と同じ仕様 )
 この仕様のせいで「AC アダプタを接続しながら使う」事でのバッテリーに対するダメージが大きかったので、改善されている点は嬉しいですね。
※Pocket の場合は、BIOS アップデートで対応済み

■ ( WIN / Pocket ) キーボードのつかいにくさ
→改善されている事を祈るしかない!(ある程度改善されているようですね)
→ちなみに私は WIN1 のキーボードはほとんど使っていません……

■ ( WIN / Pocket ) 技適マークの記載
→ GPD WIN1 は、初期型は未記載。後期型は記載あり。
 GPD Pocket は、初期型はなぜか別製品の番号を記載(※違法)、後期型は正規の番号つきで記載あり。
 真面目にやってくれることを祈るばかり。初期型にはなんらかの問題がある可能性もあります。

■ ( Pocket ) 開閉検知センサーが誤作動する
→「あえて違うドライバを当ててセンサーが機能しないようにする」という対策があったので、こういう不良があってもまあなんとかなるかな……

■ ( WIN / Pocket ) BIOS 画面が 90 度横向き表示になる
→ タブレット用の縦型液晶を流用しているので、仕方ないとのこと。たぶん WIN2 も同じでしょう。

■ ( WIN / Pocket ) スリープ死(復帰しない)、スリープ時の電力消費が多い、スリープから勝手に復帰する、など
→ そもそもスリープが信用できる PC ってわりとちゃんとしたメーカー製品くらいのような気がしてきた。使わないのが一番でしょう! ( WIN1 の場合は「スリープ運用しない」のが鉄板でした )
→ それでもスリープ機能を使いたいなら祈るしかない!!

■ ( WIN / Pocket ) 電源まわりの諸問題
→ スリープ関連、充電関連、勝手に再起動、勝手に電源断、電源オフなのにバッテリー消費……など、WIN/Pocket ともに問題の多い端末でした ( Pocket のほうが問題点が多いかもしれない )。
 このメーカーは電源周辺が弱いのかなあ。
 GPD WIN2 は ( WIN1 / Pocket でつちかった ) ノウハウがあるのと、設計期間が長く取れているので、色々改善されているのでは……と思いたい所ですが、2 つのバッテリーを直列でつなぐ設計になっているのがちょっと怖いところです(中国製のバッテリーを 2 つ直接で繋ぐとは、なかなか剛気な設計)
 なぜか初代機の GPD WIN 1 より、二代目の GPD Pocket のほうが問題が多い点ですが、「WIN1 より薄いにもかかわらず、Pocket のほうがキーストロークが深い」ため、設計に余裕が無かった事が原因なのかもしれません。
 WIN2 は WIN1 より厚いので、この点のリスクは Pocket よりは少ない……といいな(願望)。
 ……が、今回、全体的に消費電力は上がっているのでどうなるか…… M.2 SSD とかいう発熱源もあるし……。

 GPD、頑張れ。


GPD WIN1 についてはこっち! → GPD WIN を、ゲーマー視点で評価する ~ ベンチマークとか、ゲームの快適さとか